まんがもいいね。

ろすと・さむらい

またまた地元のヴィレッジ・ヴァンガードで購入。

まず表紙にひかれた。和紙を重ねて貼り付けたようなタッチの画風が独特の味を出していた。特に裏表紙の猫。
そして、タイトル。『竹光侍』。何とも期待させるじゃないか。時代劇を見る人はご存知だと思うけど、竹光っていうのは、刀身の代わりに竹をあてがった刀のこと。金のない武士が自分の刀身を売って金にしたわけだ。武士が刀を持たないでどうする、と突っ込みたくなるが、刀を持たないでも武士で入られたのが江戸時代なんだね。

結果。期待どおり。いや、期待以上。松本大洋って、前に『ピンポン』読んだきり。そのときもすごいなあ、って思ったけど、今回の『竹光侍』には、完全にやられました。感服です。いや、これはアートって言ってもいい。

画風がとっても暖かい。どうもいろいろ調べると、主人公じゃないけど、竹ペンを使っているらしい。その独特のタッチ。初見だと見づらいかもしれないけど、読み込めば読み込むほど味わいが増す絵柄だ。

そして、そこに描かれる人々の生き生きとしてること。人情を押し付けるような山本周五郎の世界のような描き方は決してしない(いや、それはそれで好きなんだけど)。さりげない言葉のはしばしや表情で人を描き分ける。突き放した描き方といえばその通りなんだけど、冷酷な感じはしない。風俗描写も抜群。このあたり、世界観は違うけど、早逝した、杉浦日向子センセイの漫画世界と通じるところがある。

だが、最大の魅力は、やはり主人公だ。剣の使い手なのに、その柄の中には刀が入っていない。それがすべてを語っている。一言で言えば浮浪雲タイプ。でも、この瀬能という武士はそこまで達観していない。些細なことに驚き、喜びを見出し、しかし、一方で、己の心の中の(剣士としての)闇と葛藤する。今までありそうでなかったタイプの主人公じゃないかと思う。

第2巻まで発売中。一気に読みきった。2巻が出たばかりだから、次を読むためには連載を読まないといけないんだね。一話一話読むのもいいかもしれない。でも、次が出るのをおとなしく待っていよう。至福のときを待つのも悦し、だ。

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